次々と訪れる客人への新年の挨拶をようやく終えた真夜中頃、ハン理事はわたしを寝室に呼んだ。
部屋に入ってみると、中には小さいテーブルと椅子が持ち込まれ、酒瓶とオードブルが並んでいた。珍しく、音楽もかかっている。クラシックの、聞いたことあるような壮大な曲だ。
何が始まるのだろうかと戸惑っているわたしに、いきなりグラスが差し出された。
「来たか、まぁまずは飲め」
結構疲れているようなハン理事は、ガウンを着て、ベッドに腰掛けていた。
わたしはありがたくグラスを頂戴し、日本産の貴重なウィスキーをいただいた。
ハン理事も、グラスを手にとったので、わたしは慌ててウィスキーを注ぐと、一気に煽ってから言った。
「今夜は無礼講だ」
「はぁ」
無礼講と言われても、わたしはピンとこなかった。ハン理事との関係は上下でしかなく、それをなくそうなどと思ったことはないからだ。
しかたなくわたしは黙って出された酒を飲むことにした。
ウィスキーだけでなく、ワインや、ブランデー、焼酎もテーブルの上に並べてある。
「いいか、限界まで飲めよ」
「あ、はい」
なんとなくハン理事の意図がわかった。
きっとハン理事はわたしを潰れさせたいのだ。
限界まで酔ったわたしがどうなるか見てみたいのだろう。前にそんなことを言っていた気がする。
しかし、わたしは結構アルコール耐性があるので、そんな限界まで行き着いたことがない。体調の悪い時に飲んで、吐いたことがあるくらいだ。
自分自身でもどうなるか見てみたい、という好奇心も相まって、わたしはハン理事から注がれるままに、次から次へと種類の違う酒を飲んでいった。
先にへべれけになったのはハン理事の方だった。
「大丈夫ですか?」
真っ赤な顔でとろんとした目をしているハン理事に、わたしは声をかけた。
「ちょっと横になったほうが」
「何だと! 俺はまだ全然酔ってないぞ!」
ハン理事はろれつのまわらない声で言う。
「それより、おまえ、なんかしろ!」
「え?」
「あるだろ、一発芸とか、そういうやつ」
これは困った。今までの命令の中で一番困った。
「えぇと……」
なんとかこの場を逃れられないかと思ったが、ハン理事は逃がす気がないようだった。しかたなくわたしは言う。
「脱ぎます!」
「は?」
わたしは今まで飲み会で無茶振りをされたとき、裸芸だけで乗り切ってきたのだ。
だが、案の定、ハン理事の反応は芳しくなかった。
「おまえの裸はいつも見ているじゃないか」
やはり、通じなかった。
「すみません……」
しょぼくれるわたしをかわいそうに思ったのか、ハン理事は言う。
「まぁいいか。じゃあ脱げ、脱いでみろ」
「えっ、いいんですか!じゃあ失礼します」
わたしはそう言って、部屋のBGMを適当なEDMに変えさせてもらった。
そして、いつも飲み会でやるように、音楽に合わせてストリップの真似をしながら少しずつ服を脱いでいく。
ハン理事はそれを見てゲラゲラ笑った。良かった。ウケてる!
「わははは、意外とやるじゃないか!」
褒められて、調子に乗りながら、わたしはボクサーパンツ一枚まで脱いだ。
「それで、オチはどうなるんだ?」
「オチはありません」
わたしはあっさりとパンツを脱いだ。
「いつもこれで、みんなシーンと静まります」
わたしの大き過ぎるデカマラに、男性陣は引いてしまうのだ(※女性の前でやったことはない)
すると、ハン理事は声にならない声で爆笑した。バンバンと手のひらでテーブルを叩いて笑う。
「くそぅ、面白いな。よし、俺も脱ぐぞ!」
「えっ」
止める時間もなく、ハン理事はガウンを威勢よく脱いだ。
「わっ!」
晒された下半身を見て、わたしは目を疑った。
こ、これは、クリスマスに履いていた、ほとんど紐のパンツじゃないか!
「ふふん、これは気に入ってるんだ。ちなみに色違いで違うやつだぞ」
自慢げにハン理事は仁王立ちになった。
「ちょ、あの、それは……」
わたしは興奮を抑えきれず、言葉に詰まった。
「うわ!」
声を上げたのはハン理事だ。
「血! 血!」
「えっ」
指を差されてわたしは咄嗟に固まった。
たらり、と鼻に下に液体が垂れる感触がある。
ぽた、ぽた、と床に血痕がついた。
「わーっ」
ようやく自分が鼻血を出していると自覚した。
「す、すみません! 床を汚してしまい……!」
「そんなことはどうでもいいから、落ち着け!」
落ち着けと言われても、紐しか身に着けていないハン理事は真っ裸よりいやらしくて、わたしはすっかり頭とデカマラに血が集まってしまっていた。
「ティッシュ! ティッシュはどこだ? あ、あった!」
ハン理事がティッシュを直々に鼻に詰めてくださった。なんてやさしい方なんだろう。
わたしは血が集まりすぎて朦朧としてきた頭で、ハン理事に話しかけようとした。
だが、本当に、本当にうっかり、口からトンデモナイ言葉が飛び出してしまったのだ。
「おかあさん!」
?????????
あっと思った時にはもう遅い。
わたしは顔が真っ赤になるのを感じた。
「じゃなくて、ハン理事!です!申し訳ございません!!!!!」
恥ずかしくて死にたくなった。
まさか、ハン理事と母親を言い間違えるとは。
恐る恐る見れば、ハン理事はやはりぽかんとしていた。が、しばらくすると、ニヤニヤ顔を緩める。
「今、俺のことを『おかあさん』と呼んだな!?」
怒るかと思われたハン理事は、それどころか嬉しそうにベッドの上に座って、膝をぽんぽんと叩いた。
「おっぱいが欲しいのか? 吸わせてやろう」
「えっ、あ、はい!」
一瞬戸惑ったものの、わたしは素直にハン理事の膝の上に頭を置いて寝転がった。
「いただきます!」
そしてハン理事のうっすらと筋肉のついた胸に吸い付いた。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅう~。
無心に小さな乳首を吸う。
するとなんだかとても穏やかな満たされた気持ちになれた。
乳は出ていないのに不思議な気分だ。
見上げれば、ハン理事は見たこともない慈愛に満ちた表情をしていた。
まるで聖母マリア様のような……。
そう思うのに、股間は疼いてデカマラはしっかり起立していたわたしに気づいて、ハン理事は目を細めて微笑んだ。
「いたずらっこだな、ちんちんをこんなにして」
そう言って、片手でわたしのデカマラをゆるくしごき始めた。
ハン理事のおっぱいを吸いながら、手で扱いていただけるなんて、至福だ。
わたしは幸せでどうにかなりそうだった。
わたしのデカマラは、ハン理事の片手では収まらなくて、これだけで射精させることはできないが、その射精したくてもできない力加減がまた気持ち良い。波打ち際をちゃぷちゃぷと浮いているような心地がする。
聖母ハン理事様はやさしく微笑んでいた。
新年早々幸せだ……。
しばらくされるがままになっていたが、そろそろ射精したくなって、わたしは乳首から口を離して言った。
「……ハン理事の中に入りたいです」
「よしよし、いいぞ。どういう姿勢でしたいんだ?」
「そうですね……」
身も心も満たされたわたしは、ちょっと考えて、起き上がった。
「これはどうですか?」
と、ハン理事を正面から抱えて持ち上げながら立ち上がった。
「あっ!?」
ハン理事が驚いている間に、紐の隙間からデカマラを差し入れる。
「あっ♡ あっ♡」
抱え上げたハン理事の体重がそのままかかって、力を入れなくてもハン理事の尻の穴にデカマラが自然と挿入っていく。
「いっ♡ いきなりっ♡ あぁっ♡」
「脚をわたしの腰にまわしてください」
「えっ♡ えっ♡」
動揺するハン理事の中にあらかたデカマラを収めると、わたしはゆっくりハン理事の体を揺さぶり始めた。
「えぇぇっ♡ あぁっ♡ あぁぁっ♡ んっ♡ あんっ♡」
腕が疲れるが、持続できないほどではない。
ふだんから体を鍛えておいて良かった。
「あんっ♡ あっ♡ あぁっ♡ ひっ♡ ひんっ♡」
腕でしっかり体を支えながらハン理事を揺さぶると、不規則な出し入れになって、ハン理事は落ちないようにわたしにしっかりしがみつきながら乱れた声を上げる。
「すっ♡ すごいっ♡ 何♡ だ♡ これっ♡♡」
「気持ちいいですか?」
「ん♡ うんっ♡ きもち♡ いぃっ♡♡♡」
ハン理事は必死で答える。
「あっ♡ イキたいっ♡♡ もうっ♡ イッちゃう!♡♡♡」
「いいですよ。思い切りイッてください」
「あぁぁぁっ♡♡♡♡ あぁっ♡ う♡ うぅ――――っ♡♡♡♡♡」
ハン理事はいっそうわたしにしがみつき、ナカも連動するようにぎゅうぎゅう締まった。
「うっ、わたしも、イキますっ」
イッている最中のハン理事の中に、わたしは射精した。
「あっ♡ 熱いのがっ♡ くるっ♡♡♡」
ナカで感じているようで、のけぞる理事を、わたしは力いっぱい抱きしめた。
「う……頭が……いたい……」
二日酔いでベッドから起き上がれない理事を、わたしはそばで看病する。
「どうしておまえは平気なんだ……」
理事は呆れてわたしを見上げる。
「さぁ、どうしてでしょうか」
わたしも首をひねりながら、頭痛薬を理事に飲ませてさしあげた。
結局わたしは酒に酔いつぶれなかった。
そこそこ酔っ払って失態を演じたとは思うが、最後まで正気だった。
「ぐぬぬ、おそろしいやつ……」
「恐れ入ります」
理事に褒められたのかけなされたのかわからないが、わたしは恐縮して答えた。
しばらくしてハン理事が眠りにつくまで、じっとそばについていて差し上げた。
おしまい