わたしだけのサンタクロース

 今年のクリスマスはウィーンで過ごすのだと、一週間前からハン理事は休暇旅行に行ってしまわれた。
 留守部隊として残されたわたし達は、邸の警備などをしているが、いつもより緊張感がない。しかもクリスマスには毎年、ハン理事から、冬のボーナスとは別にプレゼントと称した特別報酬が銀行口座に振り込まれるとあって、部下達は皆浮足立っている。
 わたしももちろんそれは嬉しいが、ハン理事がそばにいないのは寂しい。
 ただ、理事は、わたしに宿題を残して旅立って行った。
「俺がいない間、オナニーをするなよ。もちろん他の相手とのセックスもだ」
 びっくりした。
 そんなことを命じられたのは初めてだった。
 ハン理事以外とセックスはする予定などないが、ハン理事と会えない間、オナニーを出来ないとなると、性欲がじわじわと溜まってくる。
 クリスマスを越したころにハン理事が帰られるのなら、まだ数日残っている。
 わたしは律儀にハン理事との約束を守りながら、悶々とした日々を過ごしていた。

 
 24日の夜、つまりクリスマス・イブ、わたしは邸の中の見回り担当だった。
 いつものように各部屋をチェックして回っていると、不審な物音が聞こえた。
「!?」
 ガタガタという音が聞こえてくるのは、理事の寝室だ。
 何者かが侵入したのだろうか。
 わたしは急いで寝室へ向かった。
 ショットガンを構えて扉を開けると、そこには……!

 ハン理事がいた。

「えっ?」
 ずっとそこにいたように、ルームウェアを着たハン理事がベッドに座ってくつろいでコーヒーを飲んでいる。
「は、ハン理事、いつお戻りに……?」
「物騒なものは早くしまえ。俺は今帰ってきたばかりだ」
 わたしは慌てて壁にショットガンを立て掛け、ハン理事に近寄った。
「3日後が予定ではなかったですか? 何かございましたか?」
 青ざめるわたしに、ハン理事はやさしい声で言う。
「サプライズだ。今夜はイブだろう?おまえにはいつもどおり報酬を振り込んでいるが、もうひとつ特別プレゼントだ」
「まさか、わたしのために帰ってきてくださったのですか!?」
 驚いた。
 うっかり涙が出そうになるほど驚いた。
「ハン理事……、うれしいです」
 わたしの感極まった声に、ハン理事は目を細めた。
「そうかそうか、可愛い奴だな。それで、約束は守っていたか?」
「え、あ、はい」
「よし、脱いでみろ」
 命じられ、わたしは素早く服を脱ぎ始めた。じっとハン理事に見つめられて、少し恥ずかしい。しかし、全裸になってハン理事の前に立った。
 ハン理事は、コーヒーカップをサイドテーブルに置いて、わたしに近寄ってきた。
 しゃがみこんで、わたしの股間を観察する。
「どれ、本当かな?」
 と、おもむろにわたしのキンタマに手で触れた。
「!」
 動揺するわたしをよそに、ハン理事はわたしのキンタマをふにふに揉んで、急に笑い出した。
「くっくっくっ、パンパンだな。本当にオナニーしてなかったんだな」
「は、はい。命令とあらば、もちろんです」
 わたしのパンパンに膨らんだキンタマがツボに入ったようで、ハン理事はしばらくケタケタ笑っていらした。なんだかよくわからないけれど、ハン理事が楽しそうならそれでいいか、とわたしは思った。
 すると、ハン理事はいっそう顔を近づけてきたかと思うと、わたしのキンタマの片方をパクっと口に入れた。
「!!!」
 大声を出してしまいそうになって、わたしは自分の口を両手で覆った。
 ハン理事は口の中で飴を舐めるようにキンタマを大事そうに転がして、その感触をを楽しんでいるようだった。さらには、もう片方のキンタマを手でやさしく揉みながら、口に入れたほうをちゅうちゅう吸ったり、ちゅるんと口から出してみたりして遊び始めている。
「あ、あ、ハン理事……」
 わたしは、当然のことながら勃起し始めた。
 固くなったデカマラを邪魔そうに、ハン理事はキンタマに夢中になっていた。
 ちゅるんっ、ちゅむぅ、むにゅむにゅむにゅ。
 完全に遊んでいる。
「あの、あの、ハン理事、そこだけ舐められていては……」
「ほんははんひは?(どんな感じだ?)」
「あぁっ、喋られると……っ、うぅ、むずがゆくて爆発しそうです!」
 切ない声で訴えると、ようやくハン理事はキンタマを解放してくれた。
「しかたないな」
 そう言って、今度はデカマラのほうを舐め始めた。
 根本から先端まで舌で舐めあげては、根元に戻る。両手はまだキンタマをふにふに触って遊んでいる。
「あ、あ、ハン理事っ、お会いしたかったですっ」
 一週間以上、禁欲生活を送っていたのだ。いきなりハン理事のフェラチオは刺激が強すぎる。すぐに射精してしまいそうだ。
 ハン理事はデカマラの先端を口に咥え、舌先で鈴口をえぐる。
「ふふ、ひふへもはひへいいほ(いつでも出していいぞ)」
「そんなっ、あぁっ」
 しばらく耐えたものの、努力も虚しく、わたしはあっという間に射精してしまった。
 口の中で受け止めた精液を、ハン理事は迷いなくごくんと飲み込んだ。
 粘つきが喉にひっかかったのか、むせながら言う。
「すごく濃い。よく我慢したな、えらいぞ」
「は、はいぃ~」
 わたしは立っているのがやっとで、久しぶりの射精に呆然としてしまっていた。
 頭の中が真っ白で、ふわふわする。
 射精ってこんなに気持ち良いものだったっけ。
 ぼんやりしていると、目の前でハン理事がルームウェアを脱ぎ始めた。
 その様子を眺めていたわたしは、ハン理事の履いているパンツが目に入った瞬間、覚醒した。
「は?????」
 思わず声に出してしまった。
 それくらい、形容しがたいスケベなパンツを履いていたのだ。
「お、興奮したか? いいだろう、これ。ウィーンで買ってきた」
「それ、紐じゃないんですか!?」
「紐じゃない、パンツだ」
「そ、そうですか」
 どう見ても紐が絡まっているだけにしか見えないスケベなパンツを目にして、わたしは再び勃起してしまった。
 そのパンツは脱がせないままでも後ろに挿入できるようになっている。
 今すぐ挿れたい欲で頭がいっぱいになって、俺はこの時ちょっとおかしくなっていた。
「今夜の俺はおまえのサンタクロースだぞ」
 かわいいことをハン理事は言う。
「おまえの願いをひとつ叶えてやろう」
 あれ?サンタクロースってそういうのだっけ?
 まぁいいか。エロのサンタクロースはそういう方式なんだ。
「どんなプレイでもしてやるぞ? やりたいこと言ってみろ」
「ええと……それでは……」
 スケベなパンツを履いている理事を前にして、色欲に完全に支配されていたわたしは、思わず、本音を言ってしまった。
「全部、挿れたいです」
「ん?????」
 きょとんとしたハン理事を見て、わたしは、あっしまった!と思った。
「どういうことだ?????」
「いえ、今のは忘れてください」
「何だ、気になるだろ。ちゃんと言え」
 詰められて、降参する。
「実は、あの、今まで、根元まで全部は挿れたことがなくて……だから……」
「今まで???? 全部挿れてない、だと?????」
「は、はい。ハン理事のお体に差し障ると思いまして」
 ハン理事は青ざめてわたしのデカマラを凝視した。
「確かに……口にも全然入らないしな……今までじゅうぶん奥に入っていると思っていたが、あれ以上か……」
 ぶつぶつ言いながら考え込んでいる。
 案の定悩ませてしまった。このことは言わないつもりでいたのに、ついエロのサンタクロースの誘惑に負けて口走ってしまった。
 申し訳ない気持ちで撤回しようとしているわたしに、ハン理事は言った。
「よし、いいぞ。全部挿れろ!」
「えっ、無理ですよ」
「無理じゃない。俺に無理なことがあるか?」
「ありません。けど……」
「だったら俺の言うことに逆らうな」
「はいっ! 申し訳有りません!」
 わたしはハン理事の命令に従うことにした。
 考えただけで興奮してくる。だが絶対傷つけるような真似はしたくない。
「まずは、おかえりなさいのキスをしてもよろしいでしょうか?」
「ん!」
 ハン理事が目を閉じてくださったので、わたしはキスをしながらベッドの上に押し倒した。
 唇だけじゃなく、あちこちにキスをしていたら、ハン理事がまた笑い出した。
「くくく、鼻息がすごいぞ」
 そりゃそうだ。一週間以上もオナ禁させられていたんだ。こんなスケベなパンツを履いたハン理事を腕の中におさめて、正気でいられるはずがない。いつも以上に興奮している。
「はぁ、はぁ、ハン理事っ」
 思う存分、ハン理事の匂いを嗅いで、噛みつかんばかりにキスをして、股間を擦り付けた。
「発情期の大型犬みたいだな」
 ハン理事は笑いながら言っていた。
 そんなつぶやきすらも愛おしい。
「ハン理事、挿れたいです」
「あぁ、いいぞ。準備してある」
 そう言ってハン理事は脚を開いてくれた。
 何度も言うが、スケベなパンツは脱がさないでも挿入できるようになっている。だから、その紐のようなパンツの間から、デカマラを挿入していった。
「あ♡ あ♡ 入って♡ くる♡ ぅ♡」
 ここまではいつも通りだ。
「全部入ったか……?」
 おそるおそる聞いてくる理事に、わたしは首を横に振る。
「まだです。じゅうぶん、慣らしてから挿れます」
「そ、そうか……あっ♡」
 まずは浅いところを掻き回していく。
 久しぶりの理事のナカは、あたたかくて、狭くて、いやらしくうねっていて、すぐにでも射精しそうなほど気持ちいい。でも我慢だ。自分の直接的な快楽よりも、理事を満足させることで得られる快楽のほうがわたしには心地よい。
「はぁ♡ あっ♡ あんっ♡ あっ♡ あっ♡」
 ハン理事の喘ぎ声は可愛らしくて扇情的だ。
 たまらなくなって、わたしは奥へと進んでいく。
 いつもと同じくらいの深さまで挿れて、動かずにじっと待った。
「あ♡ ……なん、で?」
 動かないわたしに、ハン理事は怪訝な声を上げる。
「わたしの形を覚えていらっしゃいましたか?」
 そう答えると、ハン理事はデカマラをぎゅううっと締め付けてきた。
「お、覚えてるに、決まってるだろっ」
 ナカの形を意識してしまったのだろう。ハン理事は真っ赤な顔で、ぎゅうぎゅう締め付けてはうねってくる。
 わたしは少しずつ動き出した。
 ゆっくりと腰を引いて、カリが引っかかるところまで出て、そこからまたゆっくり挿っていく。スローな腰使いに、ハン理事は性感を高めていく。
「あ♡ あぁ♡ はぁ♡ あっ♡ あんっ♡」
 ハン理事は自分で抜いていたのだろうが、セックスはわたしと同じように久しぶりなはずだ。そのせいか、感度がいつもより良い気がする。
「あっ♡ だめっ♡ これ♡ な♡ んか♡ 感じすぎるっ♡♡」
 首をいやいやと振りながら、ゆっくり動くわたしを急かすように、足先でシーツを引っ掻いている。
「だめじゃないですよ。気持ちよくなるのは良いことです」
 耳元に囁く。
「あっ♡ んっ♡ あんっ♡ あ♡ あ♡」
「もっと奥まで入りそうですね。ゆっくり、挿れてみますね」
「あ♡ あ♡ でっかいちんちん♡♡♡ 全部♡♡♡ くるぅ♡」
「はい、根元まで、全部、入りますよ」
 宣言して、わたしはいつも遠慮していた根元の部分まで押し込んだ。
「あぁ♡ あっ♡ そんな奥まで入らな……ひっ♡ そこ♡ だめ♡ あぁっ♡」
 奥にコツンと当たるところを無視して、さらに進める。狭いところへ亀頭を埋め込む。
「入っちゃ♡ だめなとこっ♡ 入ってくるぅ♡ ぅ♡」
「う、すご……狭い……っ」
 最奥に亀頭を突っ込んだ感触は、まるで快楽の海で脳がぷかぷか浮いているようだった。
 わたしはここで死ぬのか……?
 そのくらい気持ちいい。
 ハン理事のほうも大変なことになっているようだった。
「あぁぁっ♡ へんっ♡ へんになるっ♡ あぁっ♡♡♡」
「大丈夫ですよ、へんになっても」
 なだめながら、未知の領域へ亀頭をぐぽぐぽ出し入れする。
「あぁぁぁっ♡ らめぇっ♡ あたま♡ おかしくなっちゃうっ♡ ひぃっ♡」
 ハン理事は悲鳴のような声を上げてよがる。
「全部受け止めてくださって、わたしは幸せです。ハン理事、ありがとうございます」
「あぅっ♡ も♡ いいからっ♡ 早くイけっ♡」
「はい!」
 命じられたわたしは、いっそう動きを速めて最奥をぐぽぐぽ蹂躙した。
「あぁっ♡ ひぃんっ♡ ひぃぃっ♡♡♡」
「ハン理事っ、出ますっ。奥に出しますっ」
 とうとう我慢できなくて、わたしは先に射精した。
 その衝撃で、ハン理事もイッた。
「あぁぁぁーーーーっ♡♡♡ うぅーーーーっ♡♡♡♡♡」
 亀頭から根元まで全部ぎゅうっと締め付けられ、わたしの精液は最後の一滴まで搾り取られた。
 

「全部入れる凄すぎるから、いつもはだめだが、たまにならいいぞ」
 ベッドの上で、エロいサンタクロースはわたしの髪の毛を弄びながら言う。
「良いのですか!?」
 わたしは驚いて聞き返した。
「たまになら、な」
「ありがとうございます!」
 わたしは理事の肩を両腕で抱き寄せて、こめかみにキスをした。
 最高のクリスマスプレゼントだった。
 願わくば、わたしだけのサンタクロースでありますように。

おしまい

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